物権

物権とは
・所有権
物を使用、収益、処分できる権利
・地上権
工作物等の所有を目的として他者の土地を利用することができる権利
他者の土地を自己の土地の便益のために利用する権利
物を預かることによって、弁済を促す権利
・質権
留置権を利用しても弁済がないときに預かった物を換価して優先弁済を受ける権利
弁済があるまで質権者が使用、収益できる
・抵当権
弁済がないときは抵当権を実行して優先弁済を受ける権利
実行までの使用、収益は設定者が行う

不動産では
登記を行うことで物権を主張することができる

時効

時効とは、
一定の事実状態が一定の期間継続した場合、
真実の権利関係を問わずに権利として認める制度。

一定の期間継続によって成立する時効は、
権利を取得する取得時効
権利が消滅する消滅時効があります。

取得できる権利は財産権です。
所有権、地上権、地役権、不動産貸借権

消滅する権利は債権と地上権、地役権です。

時効の効果は時効利益を受ける旨の意思表示が必要となります。
援用といいます。

時効は途中で中断の事実があると成立しません。
中断があると過去の時間経過は無意味となります。
裁判上の請求
差し押さえ、仮差し押さえ、仮処分
催告
承認

催告による中断は暫定的で、
6か月以内に裁判上の請求、差し押さえ、仮差し押さえ、仮処分のいずれかの手続きをしなければ中断はなかったことになります。

催告とは
裁判所による手続きはせず、内容証明などで相手方に請求するようなこと。

代理

代理とは
代理人が本人の代わりに、相手に対し意思表示をすることで、本人が直接その効果を取得する。
代理人は顕名に基づく意思表示を行った場合に、効果は本人に帰属する。

顕名とは
自分が本人の代理人であることを相手に伝えること。
相手が代理人と知りえない場合は代理人ではなく自分自身が売買の当事者となる。

代理人としての行為が代理権を有しないこと。
例えば、本人から委託された範囲を逸脱した代理行為など。
無権代理の行為での効果は、本人に帰属しない。効果不帰属という。
ただし、本人、相手、無権代理人には、
本人の追認と追認拒絶
相手の催告権、取消権、無権代理人への責任追及
という関係性になります。

追認、追認拒絶
無権代理の効果を認めることができ、追認すればその効果が本人に帰属します。
拒絶すれば、効果不帰属となります。

相手は本人に追認を催告することが出来ます。期間内に答えがないと拒絶とみなします。
善意の相手は無権代理人との契約を取消ことが出来ます。
善意無過失の相手であれば、さらに無権代理に対して契約の履行または損害賠償を請求出来ます。

本当の代理人と信じて取引した相手を本人の犠牲で保護する制度。
帰責事由が必要。

帰責事由とは
本人が非難される事情
代理権がないのに代理権を授与したような表示がある場合。
代理人が与えられた代理権の範囲を超えて代理行為をした場合。
代理権消滅後に行った代理行為。

本人に帰責事由があり、
相手が善意無過失の場合、
無権代理行為でも
効果が本人に帰責します。
それが表見代理です。


意思表示

例えば、土地を売買する場合、
売主は買主に対して「土地を売る」と意思表示し、買主は売主に対して「土地を買う」と意思表示して両者の意思が合致して契約は成立します。

しかし、
例えば、買主が売主の弱みを握っていて脅迫をした場合。
売主は本当は「土地を売りたくない」のに仕方なく契約した場合は意思と表示が異なっている為、その意思表示は無効となります。
だから、この契約は無効となります。
もし、この時点で買主が第三者と売買契約していても、買主の取得した権利は契約無効ですから、第三者も善意、悪意問わずに無効となります。

意思表示の原則
表意者A→相手方B→第三者C
AからB が売買
BからCへ転売とした場合。

ABの意思表示が有効ならAはCに対抗できない。
どんな理由がらあってもCの権利が守られる。

ABの意思表示が無効や取り消しされた場合はAはCに対抗できる。
Bが無権利者なのでCは権利を取得できない。

例外としてABの意思表示が無効でもCが権利を取得する場合もある。

公序良俗違反
AB間→無効
権利→A

通謀虚偽表示(ABが通謀して虚偽を表示)
AB間→無効
権利→Cが善意の場合C、Cが悪意の場合A

心裡保留(Aが単独で虚偽を表示)
AB間→Bが善意かつ無過失の場合有効、Bが悪意かつ有過失の場合無効
権利Cが善意の場合C、Cが悪意の場合A

錯誤(Aがカン違いで意思表示)
AB間→要素に錯誤の場合無効、Aが重過失の場合無効主張できない。
権利→無効の場合はA、重過失の場合はC

詐欺(AがBをだました場合)
AB間→Aは取り消しできる
権利→Cが善意の場合C、Cが悪意の場合A

脅迫(BがAを脅した場合)
AB間→Aは取り消しできる
権利→A

意思表示は
詐欺や脅迫された人を守る為の決まりという感じかな?

善意と悪意

民法では善意、悪意という言葉がよく使われるので意味を覚えておくこと。

[善意]
「〜であること」を知らないこと。
例えば、未成年者であることを知らずに、親の同意を得ないで契約したというようなこと

[悪意]
「〜であること」を知っていること。
例えば、未成年者でもあると知っていたのに、親の同意を得ないで契約したというようなこと。

言葉を見ると良いことと悪いことという感じだけど、実際は知っていたか知らなかったかという違い。
知っていたけどその人の為に知らないふりをしたとしても悪意となるということ。

制限行為能力者制度

制限行為能力者制度とは、
判断能力に乏しい人が行った売買などの契約を取り消すことができる制度。

・未成年者
・被補助人

[未成年者]
契約などの法律行為には親の同意が必要。
同意なしなら取り消しできる。

原則的に一人での契約は取り消しできる。
ただし、日用品の購入などは取り消しできない。

原則的に一人で法律行為ができ、保佐人の同意はいらない。
ただし、財産上重要な行為には同意が必要。

[被補助人]
原則的に一人で法律行為ができ、補助人の同意はいらない。
ただし、家庭裁判所で受けた特定の行為についてのみ、同意が必要。

未成年者でもお小遣いの範囲の場合は取り消しできない。
また、未成年者でも宅建業などに携わり業者として行った契約は取り消しできない。

契約の取り消しとは
はじめにさかのぼって無効とすること。

財産上重要な行為とは
民法13条列挙行為
借金をする
保証人となる
不動産など重要な財産を売買する
相続の承認、放棄をする
新築、改築、増築、大修繕の注文主となる
5年を超える土地の賃貸借、3年を超える建物の賃貸借の当事者となる
など

いきなり難しいなぁ
まあとにかく、弱者を救済する制度だってことだな。


宅地建物取引士とは

宅地建物取引士の仕事とは
不動産取引契約の前後の重要な部分なにかかわる仕事である

[重要な部分]
・取引の対象となる不動産についての「重要事項」の説明
・重要事項説明書に記名押印
・契約成立後、遅滞なく、交付すべき契約書面への記名押印

[説明すべき重要事項]
登記された権利
法令上の制限
生活施設の整備状況
未完成物件の場合の完成時の形状
区分所有建物(マンション)の場合の決まり事
宅地、建物の貸借の場合の決まり事

[専任の宅地建物取引士の設置義務]
宅地建物取引業を行うに必ず必要な資格である。
事務所…宅建業従事者5人に1人以上
契約を締結する案内所等…1人以上